大使からのメッセージ

八木毅

「原爆の日」におけるインドでの原爆犠牲者追悼行事

今年は広島及び長崎への原爆投下70年に当たります。8月6日,インド連邦下院において,原爆犠牲者を追悼するための黙祷が行われました。インド連邦議会は,毎年のように,この時期に原爆犠牲者追悼のための黙祷を行っています。私は,本年も,マハジャン下院議長のご厚意により,デリー日本人会及びインド日本商工会の方々及び大使館員とともに,この追悼行事に参加することができました。

本会議開会前には,マハジャン下院議長を表敬し,毎年議長による追悼の発言及び黙祷が行われていることに対して深甚なる謝意をお伝えしました。その後,午前11時に本会議が開始され,議事の冒頭,マハジャン下院議長が広島及び長崎の原爆犠牲者を追悼する発言を行い,続いて,モディ首相やスワラージ外務大臣を始め,出席している全下院議員が起立し黙祷が行われました。下院議長発言の要旨は以下のとおりです。

(1)本年は,1945年8月6日及び9日の広島及び長崎での原爆投下から70周年にあたる。2つの原爆投下は想像を超える大規模な破壊をもたらした。この大惨事によって,多くの無実の人が死亡した他,負傷したり障がいを負ったりした。70年が経過した後も,両都市の住民は,放射能の影響による苦痛を強いられている。
(2)インドは常に,不殺生,非暴力及び平和という原則を有しており,世界の平和と安定に貢献してきた。何十年にもわたってインドの人々は宇宙の平和や世界の平和を祈り続けてきた。この機会に,世界に平和と繁栄を広げるという我々の決意を再確認したい。核のホロコーストの被害者に対し,起立して黙祷を捧げたい。

この日の朝,モディ首相は,原爆犠牲者を追悼する日本語メッセージを,英語と共に自らツイッターで発信しました。これに対し安倍総理もツイッターで,モディ首相及びインド国民への謝意のメッセージを送っています。モディ首相のメッセージは以下のとおりです。

(1)広島で命を失ったすべての方に追悼の意を捧げる。広島,長崎への原子爆弾投下は,戦争の恐ろしさと人類への影響を想起させる。
(2)人類が抱える問題を解決する道は,平和と進歩の中にある。暴力のない,平和な世界を作るため,皆で肩を並べて歩いていこう。

上記黙祷に加え,本年は6日午後,タルン・ビジャイ上院議員の呼びかけで,国会議員有志や有識者等によって,日本大使館前にて,原爆犠牲者を追悼し,核兵器による惨禍を繰り返さないことを誓う集会が開催されました。集会では,犠牲者に哀悼の意を表する旨の横断幕を掲げ,出席者が蝋燭の火を灯す中,「ノー・モア・ヒロシマ」との誓いが行われた後,参加者全員が黙祷を捧げました。

 これらの原爆犠牲者追悼の行事は,インドの日本に対する深い配慮と友好感情の現れであり,こうした行事が70周年に当たる現在まで続けられていることは本当にありがたいことであると思います。今後,絶えることなく,これらの行事が続けられることを願っています。



駐インド日本国特命全権大使
八木毅





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