大使からのメッセージ

八木毅

モディ首相就任宣誓式への出席

 5月26日にニューデリーの大統領官邸前庭にて行われたナレンドラ・モディ第15代首相及び閣僚の就任宣誓式に出席して来ました。

式典はムカジー大統領が主催し,アンサリ副大統領,マンモハン・シン前首相,ソニア・ガンディー・コングレス党総裁をはじめ与野党の国会議員,政党関係者,各州代表,著名人,報道関係者等あわせて約4000名が出席しました。外国からは,南アジア地域協力連合(SAARC)加盟7カ国の首脳(シャリフ・パキスタン首相,チョードリー・バングラデシュ国会議長,ラージャパクサ・スリランカ大統領,コイララ・ネパール首相,トブゲー・ブータン首相,ヤミーン・モルディブ大統領,カルザイ・アフガニスタン大統領)及びラングーラム・モーリシャス首相のほか,当地駐在外交団が出席しました(なお,バングラデシュについてはハシナ首相が,ちょうど日本を公式訪問中であったため,国会議長が出席したものです)。インド首相の就任宣誓式にSAARCの首脳が招待されるのは初めてということであり,特にシャリフ・パキスタン首相,(パキスタンほどではないにしても)ラージャパクサ・スリランカ大統領への招待については,内外で大きな注目を集める一方で,インド国内に反対あるいは慎重論もありましたが,モディ首相の強い意思が示され,実現に至りました。

 TVでご覧になった方も多いと思いますが,式典は大体,次のような流れで進められました。

(1)午後6時前,アンサリ副大統領,閣僚及び各国首脳が着席する中,モディ首相が到着。

(2)午後6時,ムカジー大統領が,官邸から前庭に続く階段を降り,式場に到着すると,インド国歌が演奏され,式典が開始。

(3)ムカジー大統領のリードに従い,モディ首相と45名の閣僚及び閣外大臣が,順番に就任宣誓書をヒンディー語または英語で読み上げ,その後,就任宣誓書に署名。

(4)46名全員による宣誓と署名が終了した後,再びインド国歌が演奏され,午後7時半頃,式典が終了。

(5)式典終了後,首相,閣僚の写真撮影に続いて,SAARC諸国等首脳が壇上に上がり,ムカジー大統領,モディ首相らとの写真撮影。

(6)写真撮影終了後,モディ首相,閣僚,BJP幹部数名,及び,各国首脳は,大統領主催の晩餐会出席のため,大統領官邸内へ移動。

今回の就任宣誓式は,約4000名という多人数が出席し,広い大統領官邸前庭(昨年,天皇皇后両陛下がインドを訪問された際に歓迎式典が行われた同じ場所です)は,これら出席者に加えてプレス,警備をはじめとするインド政府担当職員によって,ほぼ埋め尽くされていました。

式典の冒頭,モディ首相が壇上に登場した際,しばらくの間,出席者の中から大きな歓声と拍手があがりました。また,閣僚やインド人出席者の中には,服装にBJP(人民党)のシンボル・カラーであるサフラン色のものを身につけている人も多く見かけられ,BJPへの政権交代を印象付けるものでした。

式典は気温30度を超える屋外で催され,しかも,1時間半にわたったことから,23名の大臣による宣誓に続いて,22名の閣外大臣の宣誓が行われる頃には,出席者の中には退出する人も散見されましたが,全体として,盛大かつ厳かなものであり,新政権の意気込み,また新政権への期待を感じることができました。


駐インド日本国特命全権大使
八木毅



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