大使からのメッセージ

八木毅

インド下院による原爆犠牲者追悼の黙祷

8月6日,インド連邦議会下院において,広島及び長崎の原爆犠牲者を追悼する黙祷が行われ,私も大使館館員及び当地在留邦人の方々とともに,国会2階バルコニーにある下院議長招待者用傍聴席から傍聴しました(通常は外交官用傍聴席を使いますが,今回はインド連邦議会の配慮により,議長招待者用傍聴席となりました)。インド連邦議会は,毎年のように,この時期に原爆犠牲者追悼のための黙祷を行っています。戦後69年を経た今日もこうした慣行が続けられていることは,大変にありがたいことであり,本会議開会直前に,マハジャン下院議長にご挨拶した際にも,私から,丁重に謝意をお伝えしました。

 黙祷に先立って,マハジャン下院議長が原爆犠牲者を追悼して,概要以下の発言を行いました(発言はヒンディー語,英語の同時通訳)。

(1) 69年前の1945年8月6日と9日に,広島と長崎は,原子力爆弾の惨禍に見舞われた。同爆弾により,多くの建物が倒壊するとともに,多数の死傷者が発生し,また,多くの人が生涯に亘って後遺症に苦しめられることとなった。

(2) 約70年が経過した現在でも,広島への原爆投下の傷は癒されておらず,また,我々に,核のない世界を造り上げるという誓いを呼び起こすものである。偉大な思想家や哲学者による非暴力のメッセージは依然として意味をなしており,古代よりインドから発信された平和のメッセージにより,インドは世界平和に大きな影響を与えている。

(3) 本日,平和・共存の世界を造り上げることを誓いたい。原爆犠牲者を偲んで,下院は起立し黙祷を捧げる。


また,同じく6日,インド首相府は,「モディ首相は広島の原爆犠牲者に追悼の意を表する」と題するプレス・リリースを発出しました。その概要は以下のとおりです。

(1) 広島への原爆投下69周年にあたり,モディ首相は原爆投下により命を失った人々に追悼の意を表した。

(2) 首相は,「本日,広島で命を失った人々すべてに思いを馳せた。自分は,人類がそのような日を再び目にしないことを希望する。共に協力し,世界平和のための運動を推進し,今後,世界をより幸せで平和なものにしよう」と述べた。

(3) 首相は,本日,下院が広島の犠牲者に追悼の意を表している間,下院にも出席していた。

 インド連邦議会による原爆犠牲者追悼の行事は世界でも例を見ないものであり,インドの日本に対する深い配慮と友好感情を現していると言えましょう。ぜひ,70周年の来年も,そして,その後も,この行事が続けられるよう希望しています。

駐インド日本国特命全権大使
八木毅





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