大使からのメッセージ

Ambassador Hiramatsu


様々なイベントに彩られた2017年も,年の瀬が近づいてまいりました。9月に行われた安倍総理の訪印,日印友好交流年を通した人と人との交流の活発化など,この一年で日印関係はさらに多方面で発展し,目に見える形で着々と成果が積み上がってきているのを日々実感しています。

 その中でも,やはり9月の安倍総理訪印はまさしく最良の状態にある日印関係を象徴する前例のないものとなりました。安倍総理夫妻とモディ首相を乗せた車列がアーメダバードの空港を出発し,何万人もの笑顔の人々やはためく日印の国旗に迎えられて沿道を進む様を間近に見て,日印関係がまさに最高潮に達していることを強く実感いたしました。

この著しい日印関係の発展は,何よりもまず,安倍総理とモディ首相の極めて強固な信頼関係に基づくものといえるでしょう。日印関係を強力かつ具体的に進めていくリーダーとして,安倍総理とモディ首相は固い絆で結ばれ,これまで4度にわたる相互訪問を含め計11回の首脳会談を重ねてきています。私も何度か首脳会談に同席させて頂いていますが,戦略面も含めこれだけ率直に意見交換が出来る首脳同士の関係は例を見ないと思います。

自由,民主主義,人権,法の支配といった普遍的価値を共有する日本とインドは,単なる二国間関係を超え,「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の旗印の下,その関係を深めています。今やインドは,大きな転換点を迎えつつある世界情勢に対応するための不可欠なパートナーであり,安倍総理の「自由で開かれたインド太平洋戦略」とモディ首相の「アクト・イースト政策」が共鳴し,日印関係は地域の秩序を支える公共財として,地域,世界情勢の安定に寄与しています。

 今回の安倍総理訪印時の首脳会談においては,これまで積み上げてきた各種の協力案件をさらに具体的に前進させることができました。高速鉄道の起工式の様子はインド全国に中継され,日本の安心・安全な新幹線がインドの大地を走る日が近いことを国民の皆さんに印象づけました。また,両首脳は,インド国内,特にインド北東部や,アフリカを含むインド太平洋地域の国々において,質の高いインフラを整備し,これら地域の連結性を強化するために協力することで一致しました。

安保・防衛協力も日印協力の大きな柱です。今次首脳会談でも,マラバール訓練を始めとする共同演習,軍種間交流や防衛装備品・技術協力等,あらゆる分野で協力を一層進めていく方向性が示されました。

両国関係の基礎となる人的交流についても前進を見ました。多くのインドの若者が日本語を学び,日本への関心を高めることを期待します。そのために,今後5年間でインドの100の高等教育機関において日本語講座を設立し,1000人の日本語教師を育成する取組を行う決定がなされました。

今後,首脳会談で合意された項目を具体的に推し進め,各分野で集中的な取組を行い,日印関係を将来に向けて揺るぎないものにしていきたいと考えています。とにかく結果を出すことが重要という認識の下,館員一同努力していく所存です。

さて,本年は日印友好交流年と銘打って,人と人との交流の活性化のために一段と精力的に取り組んだ一年でした。この一年を通して,インド各地で様々なイベントを実施してきましたが,その中でも8月にインドで40年ぶりに行われた尾上菊之助丈による歌舞伎公演,先月から始まったジャパン・フェスティバルにおけるジャズと邦楽のコンサート,日本の現代映画の上映は,多様な日本文化を幅広い世代の方々に強く印象づけるものになったと思います。これらの機会に,少しでもインドの方々に日本文化に親しみを持って頂き,日本に行ってみたいと思って頂けたのであれば幸いです。

本年,日印友好交流年事業を行うにあたり,インド日本商工会,デリー日本人会をはじめとする在留邦人の皆様に多大なる御支援,御協力をいただきましたことに心から御礼申し上げます。もちろん日印交流の試みは来年以降も続きます。日本の様々な魅力をインドの皆様に伝える努力をさらに強化していくつもりです。

最後になりましたが,大使館の最重要任務は在留邦人の皆様へのサービス,安全の確保と心得ています。大使館として,皆様のために何ができるかを真っ先に考え,私が先頭に立って皆様の安心・安全を守るために最大限努力する所存ですので,引き続き宜しくお願いいたします。

平成29年11月

駐インド日本国特命全権大使
平松賢司



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