日印友好交流年の開始とともに幕を開けた2017年も既に半年が過ぎました。この間、日印関係はさらに多方面で発展し、目に見える形で着々と成果が積み上がってきているのを実感しています。私もこれまで多くのインドの方々と会い、友情を育んできました。これらの方から日本に対する善意と尊敬の念が示されていることは、大変嬉しいことです。
日印関係が大きく花開き、新たな時代を迎えていることを日々実感しています。日本とインドは、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有しています。また、歴史的にも文化的にも多くの共通項があります。これが日本とインドの関係の基礎です。その上で相互に補完する経済、投資関係を飛躍的に発展させてきました。
今、日印経済関係は非常に勢いづいています。日印協力の下、インド各地で様々な新しい事業がスタートし、工場の開設も進んでおり、私もいろいろな企業の開所式に頻繁に出席させていただいています。日本からの対印投資額は2014年度の20.6億ドルから2016年度には47億ドルに大幅に増加しました。日本企業のインド進出への大きな流れができあがっていると言えるでしょう。また、小売り分野、サービス分野など新しい分野での日印協力も進んでおり、日本ブランドがより浸透しつつあるのは大変嬉しいことです。
インド国内各州における日本への関心も益々高まってきています。私自身も月に2、3回のペースでインド各地を訪問しており、既に18州を訪れました。最近では、先般州議会選挙が行われたウッタル・プラデシュ州を訪問し、ヨギ・アディティヤナート新州首相と意見交換を行いました。インド最大の人口をかかえる同州との協力関係を更に発展させることで意見の一致を見ました。また、インドが力を入れている北東州の開発については、日本としても強い関心を持って協力を進めており、私自身も何度も北東州を訪問しています。先日は民間企業関係者とともに第二次世界大戦の激戦地であるインパールを訪れましたが、歴史的にも関係の深い同地域における経済協力や人的交流の促進は私が大使として特に力を入れている分野でもあります。
首脳間の信頼関係も極めて強固です。モディ首相は安倍総理が最も信頼する首脳の一人です。3度の年次首脳会談を含め計8回の首脳会談を重ねています。私も何度か首脳会談に同席させて頂いていますが、戦略面も含めこれだけ率直に意見交換が出来る首脳は例を見ないと思います。
日印は、単なる二国間関係を超え「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」を有しています。今やインドは、不安定な地域情勢や大きな転換点を迎えつつある世界情勢に対応するための不可欠なパートナーです。安倍総理の「自由で開かれたインド太平洋戦略」とモディ首相の「アクト・イースト政策」が共鳴し、地域の連結性、海における法の支配の重要性などの戦略観の共有も進んでいます。南西アジア、アフリカをはじめとする第三国における日印協力に係る協力も具体化しつつあります。今年後半にあり得べき安倍総理の訪印に向け、現在大使館では結果を出すべく主要案件を特定して着実に準備を進めています。
さて、冒頭に言及した日印友好交流年につきましては、観光・文化交流を一層深化させることを目的として今年一年を通して様々な取り組みを行っています。10月には、「日本週間」の開催を予定しており、映画や音楽から食にいたるまで幅広い分野の行事を通してインドの方に日本についてさらに知っていただきたいと考えています。そして、国民レベルの相互理解を通じて、日印の「近さ」を国民の皆様にも実感していただきたいと思います。
在インド日本国大使館は、このように非常に勢いのある日印関係をさらに発展させることを目指し、日々精力的に活動しています。私自身も、頻繁に閣僚をはじめとする政府ハイレベルと意見交換を行い、日印の戦略的協力の重要性を訴えつつ、民間企業の皆様が抱える税制面やインフラ面の問題等について改善を求めています。日系企業の皆様には、日印関係が歴史上最も良好といえるこの機会を捉えて、是非積極的にインドに進出し、ビジネスを展開していただきたいと思います。我々も全力でサポートさせていただく所存ですので、何なりとご相談いただければ幸いです。
最後になりましたが、大使館の最重要任務は在留邦人の皆様へのサービス、安全の確保と心得ています。大使館として、引き続き在留邦人の皆様が安心してインドでの生活を送れるよう、最大限情報共有を行い、できる限り支援させていただく所存ですので、引き続き宜しくお願いいたします。
駐インド日本国特命全権大使
平松賢司
平松駐インド大使からのメッセージ (平成28年11月)
平松駐インド大使からのメッセージ (平成28年5月)
平松駐インド大使からのメッセージ (平成28年1月)
平松駐インド大使からのメッセージ (平成27年12月)
八木毅前駐インド大使のメッセージ
|