大使からのメッセージ

平松賢司


ヒマラヤ麓のブータン王国も厳しい冬を越え,少しずつ春の陽気が感じられる頃になってきました。

さて,2019年も4月を迎え,日本では新しい年号「令和」が発表されました。5月1日には,新しい時代「令和元年」を迎えますが,この時期を駐ブータン大使として迎えることを非常に感慨深く思っています。これまで計14回,ブータンを訪問してきましたが,令和元年も積極的にブータンを訪問し,両国関係の益々の発展のために全力で取り組んで参ります。

平成の日・ブータン関係を語る上で,2011年,東日本大震災直後に,ブータン国王陛下に被災地を御訪問いただいたことは,特筆すべき出来事でした。実際に被災地に足を運ばれ,被災者の話を親身に聞いてくださった姿に,我々日本国民はどれほど励まされたことでしょうか。2017年には,眞子内親王殿下がブータンを御訪問され,皇室・王室間の交流を契機に,両国の関係は日々深まってきました。

閣僚の往来も盛んで有り,昨年4月にトブゲー前首相及びドルジ前外相が日本を訪問した他,同年6月には河野外務大臣が日本の閣僚として初めてブータンを訪問しました。ブータンでは総選挙を経て同年11月に政権交代が行われましたが,私は新政権発足直後にブータンを訪問し,ツェリン新首相及びドルジ新外相との面会を通じ,日本の変わらぬ友情及び支援について伝え,ブータン側からも日本に対する信頼及び期待を実感致しました。

日本とブータンの関係は,国交樹立に先立ち,ダショー西岡をはじめとする農業分野での協力から始まりました。今日まで,道路や橋などのインフラ,防災,医療など様々な分野の経済協力が行われ,ブータンの社会経済発展に貢献しています。今後は,近年のブータンの経済発展を踏まえ,ODAによる経済協力のみならず,ビジネスとしての貿易・投資の拡大を通じた経済協力関係の発展の促進に努めて参ります。

また,日・ブータン関係の重要分野の一つに文化・人的交流があります。ブータンでの日本語学習に対する関心は高く,昨年の河野外務大臣訪問時に議論された日本語能力試験については,今年度中のブータンでの実施に向けて準備が進められています。その他にも,スポーツ分野では,2020年東京パラリンピックでのブータン選手派遣,人材育成分野ではブータン若手行政官育成等があり,これらの分野でも,両国間の協力を進めていきます。また,ブータンを観光に訪れる日本人も益々増えてきています。

このように,皇室・王室間の交流,政府要人による往来や経済協力,文化・スポーツ交流等を通して益々深まっている日ブータン関係をさらに進展させ,ブータンの社会経済発展に貢献するとともに,両国の皆さんにお互いをより身近に感じてもらえるように,我々大使館員一同,さらに精力的に日々の業務に取り組んで参る所存です。

我々大使館員はインドに駐在しながらブータンを兼轄しておりますが,私をはじめ,館員がなるべく頻繁にブータンを訪れ,邦人の皆様へのサービスに努めるとともにブータン政府要人等と対話を重ねるべく努力しております。

今後も,引き続き皆様への適時適切な情報提供や注意喚起,安全のための支援に努めて参りますので,どうぞよろしくお願い致します。

平成31年4月

在ブータン日本国特命全権大使
平松 賢司



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