「盆栽レクチャー・デモンストレーション・ワークショップ」の実施について

令和6年10月1日
 在インド日本国大使館、国際交流基金ニューデリー日本文化センター及びインド盆栽協会は、インドにおける盆栽の普及を促進するため、2024年9月21日(土)から22日(日)まで、ニューデリーにて「盆栽レクチャー・デモンストレーション・ワークショップ」を開催しました。
 インドでは各地に盆栽愛好家の団体があるものの、盆栽の知名度が必ずしも高くないことや盆栽に関する深い知識が広まっていないことから、この度、香川県高松市にある盆栽農園「山地山松園」から、山地孝政氏を講師として招へいし、盆栽や日本文化に興味のある幅広い方々を対象としたレクチャーとデモンストレーション、盆栽愛好家のためのワークショップを開催し、インドにおける盆栽の普及に努めました。

講師紹介

講師写真
山地孝政氏
 関西外国語大学卒業後、山梨県秋山盆栽園にて6年間修行し、2023年から「山地山松園」の3代目として活動する新進気鋭の若手盆栽作家。先代が海外相手に盆栽の魅力を発信する姿を見て育ち、小さな頃から盆栽業を継ぐことを決意。現在は地元の高松で、盆栽文化を継承・発展させ、多くの人に盆栽の魅力を伝えることをモットーに活動している。

9月21日(1日目)

(1)レクチャー・デモンストレーション 
会場 IILM(Institute for Integrated Learning in Management)
 盆栽や日本文化に興味のある幅広い方々を対象に、レクチャー・デモンストレーションを行いました。冒頭の有吉在インド日本大使館次席公使による挨拶、サヴィーナ・ガドーク・インド盆栽協会会長により挨拶の後、盆栽の歴史や楽しく鑑賞するためのポイント、初心者でも始められる盆栽などに関する山地氏のレクチャーが行われました。中国発祥の盆栽が日本で独自の文化として花開き、「BONSAI」として世界に広まった歴史、掛け軸や水石と共に盆栽を飾る伝統的な鑑賞方法、樹齢200年の貴重な盆栽に非常に高い値がついていることなどの説明に、参加者は興味深そうに聞き入っていました。
  


 
 レクチャーに続いて、実際に鉢植えの植物を用いたデモンストレーションを行いました。
 植物のどこを正面に捉え、どのようなデザイン構想にし、剪定し、針金をかけていくか、手順を追って詳しく説明されました。不要な枝を勢いよく切り落としながら高度な針金の技術によって幹や枝の動きを美しく魅せて盆栽に仕上げていく姿に、参加者からは驚きの声が上がっていました。
 
  

(2)ワークショップ
会場 IILM
 盆栽愛好家が持参した盆栽に山地氏が手を入れながら技術指導をするワークショップを行いました。山地氏は、インドに生息する多種多様な植物を用いた盆栽について、それぞれの特徴を見分け、自身で手を入れつつも、デザインの方向性や不要な枝葉の見分け方、針金のかけかたを丁寧にアドバイスしていました。参加者は、見違える姿になった自分の盆栽に喜ぶとともに、新たな知識と技術を習得できたことで、今後も大切に育てる意欲が高まっている様子でした。
  

9月22日(2日目)

(1)レクチャー・デモンストレーション
会場 国際交流基金ニューデリー日本文化センター
 2日目の午前は、国際交流基金ニューデリー日本文化センターにおいてレクチャー・デモンストレーションを行いました。冒頭の佐藤国際交流基金ニューデリー日本文化センター長による挨拶、サヴィーナ・ガドーク・インド盆栽協会会長による挨拶の後、山地氏によるレクチャーが行われました。この日は普段から同センターに足を運んでいる若い世代も多く参加し、初めて知る盆栽の歴史や魅力に関する説明に集中して耳を傾けていました。
  

 デモンストレーションでは、1日目よりも大きな樹を素材に選んだことで、剪定の様子や針金技術がより理解しやすく、特に盆栽に関する知識が不足している参加者にもビフォーアフターが明確に見て取れるようなパフォーマンスとなりました。デモンストレーション後には、老若男女問わず参加者からの質問が続き、山地氏がメディアからもインタビューを受けるなど、会場は活気にあふれていました。
 
  


(2)ワークショップ
場所IILM
 ワークショップでは、1日目とは異なる愛好家が盆栽を持ち寄り、山地氏の指導を受けました。1日目よりも参加人数を絞ったため、山地氏と参加者との間でより時間をかけたやり取りが行われ、丁寧なアドバイスを受けた参加者は大変満足していました。
 


 2日間で延べ170名が集まった本イベントでは、多くのインドの方々に盆栽に関する歴史や鑑賞方法、初心者による取り組み方、さらに愛好家にはより専門的な技術などをお伝えすることができました。来場者は大変熱心に学び、満足そうに会場を後にしました。
 共催のインド盆栽協会は山地氏に対し深い謝意を述べるとともに、インドにおける盆栽の普及に意欲を高めていました。

 

実施主体

共催:在インド日本国大使館、国際交流基金ニューデリー日本文化センター、インド盆栽協会
協力:IILM