インドに対する円借款及び無償資金協力に関する書簡の交換

令和3年3月26日
1.3月26日(現地時間同日)、インドの首都ニューデリーにおいて、我が方鈴木哲駐インド特命全権大使と先方C・S・モハパトラ財務省経済局次官補(Dr. C. S. Mohapatra, Additional Secretary, Department of Economic Affairs, Ministry of Finance, Government of India)との間で円借款及び無償資金協力に関する交換公文の署名が行われました。
今回署名された案件のうち、主なものは以下のとおりです。
 
2.主な円借款案件の概要
(1)ベンガルール・メトロ建設計画(フェーズ2)(供与限度額:520億3,600万円)
本計画は、インド政府がカルナタカ州ベンガルール都市圏において、総延長80kmの地下鉄3路線(2A号線・2B号線・6号線)を建設するために同政府に融資するものです。これにより、2029年(事業完成2年後)には、新規に建設される2A号線により、列車運行数は150本、乗客輸送量は1日当たり310万人・km、2B号線により、列車運行数は233本、乗客輸送量は1日当たり690万人・km、6号線により、列車運行数は125本、乗客輸送量は1日当たり470万人・km、となる見込みで、増加する輸送需要への対応を図り、もって交通渋滞の緩和と交通公害減少を通じて、産業競争力の強化に寄与することが期待されます。
 
(2)デリー高速輸送システム建設計画(フェーズ4)(第一期)(供与限度額:1,199億7,800万円)
本計画は、インド政府がデリー首都圏において、総延長65kmの地下鉄3路線(7号線及び8号線の延伸・10号線の新設)を建設するために同政府に融資するものです。これにより、2028年(事業完成2年後)には、延伸される7号線部分により、列車運行数は104本、乗客輸送量は1日当たり258万人・km、延伸される8号線部分により、列車運行数は187本、乗客輸送量は1日当たり730万人・km、新規に建設される10号線により、列車運行数は67本、乗客輸送量は1日当たり359万人・km、となる見込みで、増加する輸送需要への対応を図り、もって交通渋滞の緩和と交通公害減少を通じて、産業競争力の強化に寄与することが期待されます。
 
(3)ヒマーチャル・プラデシュ州作物多様化推進計画(フェーズ2)(供与限度額:113億200万円)
本計画は、インド政府がヒマーチャル・プラデシュ州において、小規模灌漑やアクセス農道等の農業生産基盤整備、農家組織化・農業技術支援、マーケティング振興支援、農業局機能の強化等を行うために同政府に融資するものです。これにより、2031年(事業完成2年後)には、灌漑整備面積は7,933ha、野菜の栽培面積は雨季に3,370ha、乾季に3,574haとなる見込みで、作物多様化・高付加価値化及び対象農家の所得向上を図り、同地域の社会経済発展に資することを通じて、持続的で包摂的な成長への支援に寄与することが期待されます。
 
(4)ラジャスタン州地方給水・フッ素症対策計画(フェーズ2)(供与限度額:458億1,600万円)
本計画は、インド政府がラジャスタン州北東部及び西部の2県において、上水道設備の整備を行うとともに、フッ素症対策を含む安全な水の利用と管理に係る給水衛生組合等の組織能力強化及び住民への啓発活動を行うために同政府に融資するものです。これにより、2030年(事業完成2年後)には、新規に建設される上水道設備における1日当たりの平均給水量は47,500㎥(ジューンジュヌ県)、81,500㎥(バールメール県)となる見込みで、同地域の住民等に対し安定的に清潔な水の供給を図り、もって住民の生活利便性の向上、衛生改善及び健康増進に資することにより、持続的で包摂的な成長への支援に寄与することが期待されます。
 
3.主な円借款案件の供与条件
(1)上記2(1)
ア 金利:年1.15%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
イ 償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
ウ 調達条件:一般アンタイド
 
(2)上記2(2)
ア 金利:年1.15%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
イ 償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
ウ 調達条件:一般アンタイド
 
(3)上記2(3)
ア 金利:年1.15%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
イ 償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
ウ 調達条件:一般アンタイド
 
(4)上記2(4)
ア 金利:年1.15%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
イ 償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
ウ 調達条件:一般アンタイド

4.無償資金協力案件の概要
アンダマン・ニコバル諸島における電力供給能力向上計画(供与限度額:40億1600万円)
本計画は、南アンダマン島において、フェニックスベイ発電所敷地内の蓄電池及び関連設備を整備することにより、再生可能エネルギー由来電力の有効利用と電力供給の安定化を図り、もって産業競争力の強化に寄与するものです。
今回の対インド支援により、アンダマン・ニコバル諸島における持続可能な経済の発展や気候変動対策の促進に貢献することが期待されます。

 
            鈴木大使                                                                              モハパトラ次官補