天皇誕生日に際しての大使からのメッセージ

Ambassador Suzuki


令和3年の天皇誕生日をお祝い申し上げるとともに、御挨拶を申し上げます。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の事態が、日本とブータンを含む世界全体に甚大な影響を及ぼしました。

本年1月1日のメッセージの中で、天皇陛下は、この一年、私たちが、新型コロナウイルスという、今の時代を生きる私たちのほとんどが経験したことのない規模での未知のウイルスの感染拡大による様々な困難と試練に直面してきたこと、世界各国で、そして日本でも多くの方が亡くなられたことに触れられつつ、医師・看護師を始めとした医療に携わる方々が、大勢の患者の命を救うために、日夜献身的に力を尽くしてこられていることに深い敬意と感謝の意を表されました。また、私たち人類が、これまで幾度も恐ろしい疫病や大きな自然災害に見舞われてきたこと、しかし、その度に、団結力と忍耐をもって、それらの試練を乗り越えてきたことにも触れられました。

ブータンにおいても新型コロナウイルスとの厳しい闘いが続いています。ブータンにおいて、医療従事者を始め様々な方々が、新型コロナウイルスから人々の命を救うために日夜懸命に働いていることに心からの敬意を表します。

コロナ禍において、日本とブータンの外交関係は制約を受けました。昨年、私自身のブータンへの訪問が叶わなかったことは極めて残念です。このような厳しい状況ではありましたが、我々の協力は継続しており、小型救急車等を供与する「経済社会開発計画」への署名が行われた他、国道沿いの4橋を架け替える「国道四号線橋梁架け替え計画」も完工しました。

引き続き厳しい状況が続きますが、ブータンの人々の生計向上、ひいては日本とブータンとの絆をさらに深めていくために取り組んでいく所存です。

日本とブータンは、今から35年前の1986年に外交関係を樹立しました。その翌年の1987年に、今上天皇陛下が日本の皇族として始めてブータンを御訪問されました。ティンプーとパローを訪問された陛下は、竹細工や絵画等を鑑賞され、農家では地酒を楽しまれました。御訪問の後、陛下は、感動の連続で、時間を超越した夢の世界にいる思いでした、国王をはじめ、同じ世代の王室と交流が出来たことが有意義でしたと振り返られたと伺っています。その後、両国は、日本の皇室とブータン王室の交流に支えられながら、相互理解を進め、友好を深めてきました。今、両国国民の間には、心と心の強い絆があります。

新型コロナウイルスの感染状況はまだまだ予断を許しませんが、感染対策に万全を期しながら、引き続き日本とブータンの絆を一層堅くし、両国の友好関係を更に強化していくために引き続き力を尽くしていく所存です。

天皇陛下は、人々が将来への確固たる希望を胸に、安心して暮らせる日が必ずや遠くない将来に来ることを信じ、皆が互いに思いやりを持って助け合い、支え合いながら、進んで行くことを心から願っていると述べられました。このお言葉を胸に、在留邦人の皆様、ブータンの友人の皆様と共に、日・ブータン関係の更なる発展に向けて、歩みを進めていきたいと思います。

令和3年2月23日

駐ブータン日本国特命全権大使
鈴木 哲



◯ 天皇陛下のブータン御訪問(1987年)当時のお写真


(提供元:読売新聞社)

◯ 天皇陛下のおことば:新年ビデオメッセージ
https://www.kunaicho.go.jp/page/okotoba/detail/86
(出典:天皇陛下のおことば 新年ビデオメッセージ(令和3年1月1日) 宮内庁ウェブサイト)


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