平成25年11月7日
在インド日本国大使館
1.11月3日、日本政府は、平成25年秋の外国人叙勲として49名の受賞者を発表しました。その中で、デリーメトロ公社E.スリダラン前総裁(81歳)は旭日重光章を授与され、同月6日(水)午後、宮中において執り行われた「重光章勲章伝達式」に出席し、安倍内閣総理大臣から勲章及び勲記を伝達されました。その後、伝達された勲章を着用した同氏は、豊明殿において、天皇陛下に拝謁しました。
2.同氏の叙勲は、デリーメトロ事業を通じたインドにおける日本のプレゼンスの向上及び日本・インド間の友好協力関係の促進に寄与した功績によるものです。
3.スリダラン氏の功績・経歴は以下のとおりです。
(1) E.スリダラン氏は、1932年インド・ケララ州に生まれ、54年インド鉄道省入省、97年より2011年までデリーメトロ公社初代総裁を務めました。スリダラン氏は、デリーメトロ公社総裁であった14年余り、ODAで整備するデリーメトロ事業を自ら率先して指揮し、我が国企業の優れた省エネ、レール、コンサルティングなどの技術を積極的に活用するとともに、「ノーキ(納期)」、「5分前集合」など我が国の効率的な労働文化をインドの地下鉄建設現場にとり込み、もってメトロ建設の第一期(フェーズ1)及び第二期(フェーズ2)工事とも当初の予定よりも早く完成させることに成功しました。
(2) デリーメトロの一日の利用者は今や250万人を超え、ピーク時には2分間隔で運行、それでもほぼ100%の定時運行を実現しており、デリーメトロはあらゆる点で世界最高レベルの地下鉄となっています。デリー市内の交通渋滞の緩和、大気汚染の軽減効果も現れています。
(3) 日本の協力によるデリーメトロの事業を成功例として、チェンナイ、ムンバイ他4都市のメトロ整備に我が国の円借款が導入されることになりました。また、同氏は、東日本大震災の際、新幹線を含め我が国の全ての鉄道で負傷者が生じなかった安全性に感銘を受け、日本の鉄道技術を学ぶため公社職員を日本に留学させることを決定しました。
(4) スリダラン氏の発案でデリーメトロ事業が我が国ODA支援によって建設されたことを示すパネルがメトロ主要駅構内に常設展示されています。
(参考)デリーメトロ事業
○日本政府は(独)国際協力機構(JICA)を通じ、2011年9月に完成した第二期工事(フェーズ2)まで(路線長約190km)について総額約3748億円の円借款を供与。
○JICAは建設工事に加え、安全運行や車両維持管理等についても日本の先進的な技術により本事業を支援。
○現在、第三期工事(フェーズ3 103km)が建設中。
![]() 11月6日の皇居伝達式に出席したスリダラン前総裁 |
![]() デリーメトロ |