インドの大気汚染と粒子状物質(PM10及びPM2.5)について


平成25年2月27日
在インド日本国大使館

昨年来、当地各紙において、インド国内の大気汚染に関する記事が多く見られています。以下のとおり参考情報をお知らせいたします。


1. 対策

 大気汚染対策として,一般的に以下の対策が考えられ,汚染が激しいと感じるときには,これらの対策をとることをお薦めします。

(1) 不要不急の外出や長時間の屋外活動を避ける。

(2) 外出時にはサージカルマスク(日本では主に花粉症対策としても販売されている)を正しく着用する。(なお、必ずしも日本のものと同質ではないもののサージカルマスクはデリー市内の薬局でも入手可能。)

(3) 窓の開放は可能な限りしない。住宅の隙間やドアなど外気の通り道をふさぐ。

(4) 部屋のサイズに適した空気清浄機を選び日常的に使用する。


2. インドの大気汚染の現状

(1) インドでは自動車等の排気ガス、産業や家庭などに由来する物質が主な大気汚染の原因となっており、冬季に大気汚染が顕著になる傾向があります(出典1)。 現在、インド政府は国内の211都市に大気監視ステーションを設置し、二酸化硫黄(SO2)や二酸化窒素(NO2)、粒子状物質(PM10:直径10ミクロン(μm)以下)などの汚染物質濃度を計測しています(出典2)

(2) これらの物質のうち、PM10については、基準値を超えると大気汚染による死亡率が上昇することが知られています(出典3)。インド国内の主要5都市(デリー、コルカタ、ムンバイ、バンガロール、チェンナイ)におけるPM10濃度の年平均値(2010年)は、4都市でインドの環境基準(年平均値60μg/m3以下)を、5都市で世界保健機構(WHO)の基準(年平均値20μg/m3以下)を超えています。
(数値:デリー:259μg/m3、コルカタ:98μg/m3、ムンバイ:94μg/m3、バンガロール:94μg/m3、チェンナイ:59μg/m3(出典1)【参考1】

(3) また、PM10よりさらに粒子が小さく、吸入すると肺の奥深くまで入り、より危険とされている微小粒子状物質(PM2.5:直径2.5μm以下)(出典4)については、インド全土における計測値は公表されていませんが、デリーにおけるPM2.5濃度の年平均値(2010年)は89μg/m3であり(出典1)、インドの環境基準(年平均値40μg/m3以下)及びWHOの基準(年平均値10μg/m3以下)を超えています。【参考2】

【参考】 

1. 中国・北京市におけるPM10濃度の年平均値(2012年)は109μg/m3 (出典5)

2.デリーにおけるPM2.5濃度は以下の6観測地点で計測された値の平均値。

Siri Fort(デリー南部)、Nizamuddin(デリー南部、フマユーン廟近く)、Pitampura(デリー北部)、Shahdara(デリー東部、ヤムナ川東岸)、Shahzada Bagh(デリー西部)、Janakpuri(デリー西部)

出典:

1.Central Pollution Control Board (CPCB) 年次報告(2010-2011)
http://www.cpcb.nic.in/upload/AnnualReports/AnnualReport_41_Annaul_Report_2010_11.pdf

2.インド環境・森林省 年次報告(2011-2012)
http://www.moef.nic.in/report/report.html

3.世界保健機構(WHO)ホームページ 大気質と健康
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs313/en/index.html

4.環境省ホームページ 微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報
http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html

5.北京市環境局 報道発表資料